君色の夏





涼夏ちゃんは汗だくで倒れている涼平を見るなり私たちに言った。




「救急車! 救急車呼んで!」



急に現れた小さな女の子がそう叫ぶのを見て、他のサッカー部員はぽかんとしている。




私も、目を点にして涼夏ちゃんを見つめていた。




涼平が倒れたこともびっくりだけど、涼夏ちゃんのその行動力に、もっとびっくりした。



「どうした? 熱中症か?」



「ちがいます!」



慌てて駆けつけた先生も、冷静な涼夏ちゃんに開いた口が塞がらない。




「はやくりょうちゃんを、病院に連れてって! じゃないとりょうちゃん、死んじゃうよ!」



涼平が……死んじゃう?



どういうこと?






こんなときなのに冷静な涼夏ちゃんが発したその言葉が、私は信じられなかった。




それからのことは、ほとんど覚えていない。