こんなに綺麗な花火、はじめて見たかも。





花火は次々に打ち上げられていった。




花火って、なんだか不思議だと思う。



花火自体は一瞬で消えちゃうのに、それを見た人の心にはずっと残る。




こんな一瞬の命でも、見る人を感動させられるなんて、すごいと思う。



「綺麗だな、花火」



涼平が隣でそうつぶやく。



その横顔がやけに寂しげで、私はなんだか不安になった。



涼平の表情は、さっきの私からりんご飴を奪おうとしていたいたずらっ子な顔じゃなくて、真剣で。



でも、なんだか遠くを見ているような、そんな目だった。




「うん……綺麗だね」



私はそんな涼平に、一言だけ返すとまた空を見上げた。



涼平はこの空を見て、なにを思っているんだろう……そう考えながら。