「どういう事!? 涼平たちはどこに行ったの?」
「今日だけよ、千夏。別に何もないから大丈夫」
りっちゃんは、私の質問には答えずにそう言った。
りっちゃんはきっと……今日涼平一家がいない理由を知っている。
何か隠さなければならないことがあるのだろうか。
私は疑問に思ったけど、りっちゃんがあまりにも切なそうな顔をするので、私はそれ以上聞くことができなかった。
「ねぇ……りっちゃん。今日どこか行こうよ。涼平いないから暇だよ……」
「はいはい。あたしは千夏の暇つぶし相手なのね」
「いや、そういうわけじゃない……」
私の否定の声を聞こうともしないりっちゃん。
相変わらずクールだ。
「ていうか、あたし今から散歩しに行くんだけど。一緒に行ってくれるならどっか行ってあげてもいいよ」
りっちゃんってば、素直にいっしょに散歩しに行こう、って言えばいいのに。
まぁ、素直じゃないりっちゃんも好きだけど。