「うわっ!」
顔に思いっきり、水がかかる。
涼平の仕業だ。
まあ、最初に涼平に水をかけたのは私なんだけど。
「もう! 涼平!」
私はまた、涼平に水をぶっかけた。
「おい、千夏! いい加減にしろよー!」
笑顔でそう言う涼平を見て、私は気付いてしまった。
ああ、これは恋なんだ。
たったの三日間で、私は恋に落ちてしまった。
この目の前で笑う、涼平に。
優しいところも、ちょっと意地悪なところも、バカがつくほど素直なところも。
全部、好きなんだ。
陽射しが照りつける、暑い暑い夏休み。
広く澄んだ青い空のような涼平に、私は恋をした。