私は呆れながら、水の中から顔を出して笑っている涼平を見つめていた。
「千夏も早く入れよー!」
涼平は私に向かって大きく手を振りながら、そう叫ぶ。
定期的にこちらに向かってくる波。
私はタイミングを見計らって、海の中に入った。
「あっ……」
砂に足を取られて、私は海の水の中でこけそうになる。
「千夏!」
気付いたら私は、涼平に抱かれていた。
「大丈夫か?」
至近距離で涼平と目が合い、また心臓が忙しく動き出す。
「だ、大丈夫……」
涼平の肌から伝わる、優しい温もり。
私は恥ずかしくなって慌てて体を離した。
「千夏って、ドジだな!」
そう言う涼平に、私は思いっきり水をかけた。
でもそれは、完全なる照れ隠しだ。
だって涼平が……そんな屈託のない笑顔で、そう言うんだもん。
胸のドキドキが止まらない。
私は必死で、この胸の音が涼平に聞こえていませんように……と願った。
「千夏ー! お前、やったなー?」
ふわふわとした髪の毛をかき上げながらそう言う涼平に、もっと鼓動が速くなる。

