卵焼き、欲しかったんだ……。
………可愛い……。
卵焼き、あげたい……。
でも、最後の一個だし……。
「卵焼き、欲しいの?」
私がそう聞くと、涼平はコクン、と頷いた。
「はい、どうぞ」
「え、くれるの?」
ありがとう、そう言って涼平は私の弁当箱から卵焼きを取った。
おいしそうに卵焼きを食べる涼平を見ていたら、自然と頬が緩んだ。
「なんだよ、千夏。俺の顔になんかついてる?」
「え? ううん」
ちょっと、じっくり見つめすぎたかな。
「やっぱり、貴代さんの卵焼き うまいな!」
涼平はそう言うと、爽やかに笑った。

