「千夏、よかったねぇ」
「え?」
涼平が自分の家に帰ると、ちゃぶ台でおばあちゃんと二人で夜ご飯を食べていた。
「いい友達ができて。なかなかいい子でしょう。あの子は」
あの子って……涼平?
「うん。涼平ったら、すっごい素直なの」
別に、背が小さいって言ったって、事実なんだからしょうがないしね。
謝ることもないのに、あんなにまっすぐに謝ってきて……。
確かに、『千夏 ちっちゃいじゃん』と言われた時には悲しかったけど。
「そうだよー。あの子は、いつもまっすぐだからねぇ」
まっすぐなのに、人のことをちゃんと気にかけてくれる。
なんか、すごい人だ。
「涼平はねぇ、小さい頃からよくうちに遊びに来てたよ」
確か千夏も会ったことあるんじゃないかねぇ、おばあちゃんはそう言ってお茶を飲んだ。
えっ、会ったことあるの?
私と涼平が?
ぜんぜん記憶にない。
きっと、おばあちゃんが言う『私と涼平が会ったことがある』というのは、私たちがすごく小さい時の話なんだと思う。
「涼平と、仲良くねぇ」
おばあちゃんが腰をトントンと叩きながらそう言った。