君色の夏





「そうだったんだ……」



「そう。それから、お母さんはずっと私を一人で育ててくれてるの」



お母さんも、愛するお父さんを失って悲しかったはずなのに、私の前では決して泣かなかったんだ。



でも、私は知ってる。



今でもこっそり、お母さんは遺影に写るお父さんを見ては泣いていること。



悲しい時は、誰が見ていようと、思いっきり泣けばいい。



我慢は体に良くないのに。




お母さんは、私の前では必死に我慢してる。




「貴代さんは、お母さんの方のおばあちゃん? それともお父さん?」



「お父さんの方。お父さんが亡くなってからも、よく遊びに来てた」



「そっか。じゃあさ、俺ら一回くらいは会ったことあるかもね!」



「そうかもね」



涼平とは、太陽が沈んでも話し続けた。



私は普段、あまり男子とはしゃべらないのに、涼平とならいくらでも喋ることができる。



結局、おばあちゃんが夕飯だよー、と呼びに来るまで私たちはお互いのことを話していた。