「おい、千夏。急にどうしたんだよ」 「だから、内緒だってば!」 私は、涼平の車椅子を押して、病院の玄関まで来た。 病院の玄関に、車椅子用の車が止まっている。 「え……父さん、母さん」 運転席には涼平のお父さん、助手席にはお母さんが座っていた。 「涼平、乗って」 私たちを乗せた車は、涼平の町よりも少し都会なこの町を走り出した。