「だから、俺は諦めないよ。この命が消えるまで、生きることを諦めない」
涼平は強く、そう言った。
やっぱり涼平の瞳は、濁りのない澄んだ瞳だった。
「……じゃあ、私も頑張る」
「え?」
「涼平の最後の一カ月が、涼平にとって最高の一カ月になるように。私も頑張るから」
涼平は、生きることを諦めたわけじゃない。
自分の命の期限をその手でしっかりと受け止めて、それでも前に進もうとしているんだ。
「ありがとう、千夏。でも、千夏はそのままでいいよ。今のままの千夏が、一番好きだから」
“今のままの千夏が、一番好きだから”
その言葉に、どんな意味が込められていたのか分からない。
ただの、友達としての好きなのかもしれない。
それでも君に“好き”と言われただけで、私は嬉しかった。
窓から差し込むオレンジ色の夕日が、私たちを照らしていた。