「涼平が千夏に言わなかったのは、千夏を心配させたくなかったからだと思う。涼平は優しいから……たぶん」
りっちゃんの目から、とうとう大粒の涙があふれた。
りっちゃんはきっと………涼平のことが、心配で心配でたまらないんだ。
それなのに、こんな私のことを探しに来てくれて。
私……バカみたいだ。
涼平がこんな状態の時に、りっちゃんに心配かけるなんて。
大馬鹿だ。
「本当……ごめん、りっちゃん」
やっと出た一言は、謝罪の言葉だった。
顔を上げることができなかった。
りっちゃんの顔を、直視できない。
「もういいから、千夏。それより、涼平を応援しようよ。“頑張れ”ってさ」
「うん………」
私はただただ降り続ける涙雨をタクシーの窓から見つめていた。
まるで私の暗く沈んだ心のように、その雨はやむことがなかった。

