救急車のサイレンの音がして、隊員の人に涼夏ちゃんが何か説明していた。
5歳とは思えない行動力に、隊員の人まで驚いていたことは覚えている。
それからはほぼ放心状態で……気が付いたら病院にいた、という感じだった。
私の隣に、りっちゃんがいる。
それだけは分かったけど、ここが待合室なのか、どこなのかすら分からなかった。
「千夏? 大丈夫?」
りっちゃんの声に、私は首を横に振る。
大丈夫とか、そんな状態じゃなかった。
もう、なにがなんだか分からなかった。
涼平が倒れたという現実が。
涼夏ちゃんの、『りょうちゃんが死んじゃう!』という悲痛な叫び声が。
―――信じられなかった。
私たちは、涼平のサッカーの試合を見に行ったはずなのに。

