君の花嫁~大学生編~



「そんなに恥ずかしがることじゃないだろ、今更」
「お風呂は恥ずかしいっていつも言ってるでしょう!」


私は背中で笑う伊織に頬を膨らます。
今更ではあるけど、やはり明るいお風呂に二人で入るのはなぜか慣れなくて恥ずかしいのだ。
伊織はわかっているから背中で楽しそうに笑っている。
こんなに楽しそうな伊織の笑い声を聞いたのはいつぶりだろう。
すると、伊織が「真琴」と囁いた。


「真琴、ありがとうな」


伊織は私の肩に額をつけて言う。
ああ、やはりもう大丈夫だ。いつもの伊織の声だ。


「うん」


頷いて、お腹に回った手を上から包むと、更に強く抱き締められた。


「ねぇ、伊織。今日は休みでしょう?」
「休みだよ」
「じゃぁさ、その、久しぶりにデート……しませんか?」


忙しい伊織とはそんなにしょっちゅうデートなんてできない。
照れてしまい言葉尻が消えそうなくらい小さくなってしまったが、伊織には届いたようでクスッと笑う声がした。


「うん。デートしよう」


やった! と嬉しくて振り向くと、そこにはやたらと色気を醸し出す伊織の笑顔があった。


「えっ」
「でもデートの前に、真琴を食べさせて」


甘い声が低く囁いて、熱い唇が私の声を塞いだ。