「どういう形でもいい。伊織が私の愛を確かめればいいよ。どこにも行かないって確かめたらいい」
「……手酷くするかもよ?」
「それはないよ。伊織はそんな人じゃないもん」


そう言い切って笑うと、微かに伊織の表情が和らいだ。


「でもね、これだけはわかってほしいの。長い将来、どんな形かはわからないけれど、伊織の側にずっといられない日が来るかもしれない。伊織の前から消えるかもしれない。先のことなんてどうなるかわからないからね。でも、でもね。たとえそんな日が来たとしても、私の愛情は変わらないよ。それだけは変わらない」


人間は永遠ではない。いつか消え去るものだ。
でも、相手を想う愛情は永遠だ。
心の中で想う気持ちは変わらない。


「そもそもね、私は伊織しか知らないから、伊織への愛情が最大級なの。それ以上の愛なんてわからないし想像も付かない。だからそれを越える人はそういないから安心して」


明るくそう言うと、伊織が私の腕を引き寄せ、強く抱き締めた。
その背中をポンポンと優しく撫でる。


「私は伊織を信じている。だから大丈夫。何も恐いことなんてないよ」
「……あぁ……」
「それに、カインが教えてくれたことを忘れずにいれば、私は……私達は壊れたりしないわ」


大丈夫だから、安心して。
恐がらないで。

そういう気持ちで抱き締め返すと、伊織の腕も強くなる。
その腕はしっかりとしていて、伊織の心が落ち着いてきたことを気付かされる。

大丈夫だ。私の伝えたいことは伝わっているみたい。