「言いたくなかったけどね。僕は君のためのカウンセラーのようだから」
「は?」
「なんでもない。でもね、伊織。君の恐れはいつか真琴を潰すよ」


何気ない口調の中の重みにドキンとする。
しかし、カインの目は本気だ。


「いつか君が真琴を壊す」
「どういう意味だ」


伊織の口調に怒りが含めれる。


「言葉の通りだ。君が恐れて真琴を縛れば縛るほど、真琴はその気持ちに応えようと、伝えようと必死になる。そしていつか、真琴も恐れを抱くんだ。伊織が居なくなったらどうしよう、と」


カインの指摘にハッとした。
私が恐れる?
でも、そんなの。


「誰だって好きな人が居なくなったらと不安になることはあるでしょう?」
「もちろん。それは自然な感情だ。でもそれが過度になると依存となり、少しのことにも疑いが生まれ、いつか家庭が壊れてしまう」


そんな……。

でも、最近の私は伊織に想いをすこしでも伝えようと必死になっていて、常に伊織を探していた。
『愛』だけではなく、『伝える』ことに必死になっていた気がする。


「信じることが大切なんだ」