伊織が仕事の日も、なるべく起きて待っているようにした。
たまにリビングで寝てしまい、ベッドに伊織が運んでくれることもあるけど、目を覚ましたら伊織にくっつくなどして、密着する。

伊織が好き。愛している。

それが少しでもたくさん伝わるように。


「それだけでは駄目だと思うけどね」


カインは器用にお箸を使いながら焼き魚を突っついて呟く。
今日も伊織は大学のあと、お義父さんの会社へ行っている。そんな日はカインと莉奈ちゃんとご飯を食べるのだ。


「駄目って?」
「愛情を示すだけでは駄目なんだ。無理しているように見えてしまう」
「無理なんて」
「してなくても、受けとる側はそう感じる」


思わずムッとしてしまうと、空気を読んだ莉奈ちゃんが苦笑いで部屋に戻っていった。
こんな気遣いが出来るようになったなんて。少しだけ大きくなった莉奈ちゃんを見送り、カインに向き合う。