「ねぇ、伊織? ちょっと離れてくれない?」
「なんで」
「なんでって……」
凄く邪魔だからだよ。
そう思って肩に寄せられた顔を見つめる。
お風呂のあと、部屋で化粧水をたたいていると、伊織が後ろから抱きついてきた。
伊織がこうやって甘えてくるのは珍しい。
レアな分嬉しいが、ちょっぴり心配である。
意外と独占欲が強いからなぁ、とこっそりため息をつき、その原因がすぐに浮かぶ。
今日の夕飯は日本食でまとめたのだが、そらをカインが誉めちぎったのだ。
オーバーとも言えるリアクションで褒めるから、つい嬉しくなって喜んでしまったのだが、たぶんそれが気に入らなかったのだろう。
「いーおーり」
「なぁ、真琴」
「ん?」
「いい?」
何がいいのか、私を見つめてくる目でわかる。
そんなに色気のある目で見られたら、一気に顔が赤くなってしまう。



