「まぁ、それなりにお金持ちかな」
「貴族とか?」
「うーん、まぁそんな感じ」
笑って言葉を濁すとなにやら察したのか薫はそれ以上は突っ込んで聞いてこなかった。
こんだけのお金持ちが集まる所だから、みんなそれなりに事情は抱えているのだとわかっているのだろう。
聞きたいけど無理には聞けない、という顔をしている。
すると、薫が「あっ」と私の後ろを見て驚いた。周りも一瞬でざわめく。
それだけの反応で誰が後ろにいるかわかってしまった。
伊織が来た反応ではない。
新鮮な新しいざわめき方。
「ハイ!真琴!」
「ハイ、カイン」
ポンと肩を叩かれ、注目の人物を振り返る。
そして、おや、と目を見張った。
「伊織」
カインの隣には疲れたような表情の伊織が私と目を合わせると軽く手をあげる。
まさかカインと伊織がセットでいるとは思わなかったから驚いた。
「ふたりで何してるの?」
「伊織に真琴のクラスへ行きたいって話したら連れてきてくれたんだ」
カインは流暢な日本語で答える。
「それは連れてきてくれたんじゃなくて、着いてきたのよ」
少し呆れたように薫が言うと、カインは眉を寄せた。
「日本語間違えた? 君は?」
「間違えではなくて、雨宮の心情よ。初めまして、二人の友達で夏目薫といいます」
薫は自己紹介を英語でする。綺麗な英語で、やはり薫もお嬢様だったのだと思い出す。



