なんだか別世界の、お話の中の物語のようだ。
きっとこれが恋愛小説ならその王子様と恋に落ちて……なんて展開があるのだろうが、今回はそんなことはありえない。
だって私にとっての王子様はもういるし。
なんて心の中でのろけてから当の私の王子様を振り返ると、明らかに不満げな表情だった。
「い、伊織? なんか顔怖いよ」
そう覗きこむとパッとそらす。
そして益々ムッとした顔で立ち上がり、ドカドカと夫婦の部屋へと向かっていく。
「え?」
訳がわからないまま、慌てて後ろから追いかけて部屋に入ると、伊織はネクタイを外しながらため息を着いた。
「どうしたの?」



