君の花嫁~大学生編~



携帯を確認するが、連絡は入っていない。
今日は遅くなるのかな。
伊織が遅い日は正直少し寂しい。

先に寝て、夜中に伊織の気配で目が覚める。目を覚まして身じろぎすると、なだめるように伊織に抱きしめられてそのぬくもりに安心して眠ってしまう。そして翌朝目が覚めると伊織はすでに家を出ている、ということも少なくはなかった。

今日も先に寝るかな。

そう思って食後の片づけをしていると、「ただいま」と声が聞こえてきた。


「お帰りなさい!」


リビングに入ってきた義父に莉奈が嬉しそうに飛びつく。その莉奈を受け止めながら、義父はお手伝いさんに鞄を預けた。
その後ろから、スーツ姿の伊織が入ってくる。
しかし、その顔は義父とは反対に眉間にしわを寄せ、仏頂面だった。
珍しく機嫌が悪そうな表情に、思わず私も近寄った足が止まる。


「お帰りなさい」


恐る恐る声をかけると、私の姿に初めて気が付いたかのようにハッとして、そして笑顔を作った。


「ただいま」
「どうかした?」


聞くと、なんとも複雑そうな表情で見つめてくる。