『俺、雨宮さんの事好きになった』






『は?』






あれは中学の時だった。






俺の仲良い友達はいきなりそんな事を言い出した。






『今日コクるつもりなんだけど…』






『お前本気かよ、バカじゃねーの?あんなんのどこがいいんだよ』






『どこって、』






『俺はあんな女反対だね。だってアイツ、裏では男付き合い半端ないって聞くぜ?』






『そうなんだ…初めて知った』






『そんな奴なんだよ。止めとけ』






いつも俺はこんな感じだったんだ。






果歩は可愛いくせになんも自覚していない。






自覚どころか、自分は可愛くないって思い込んでる。






その証拠に、一度も告白されてないって言ってた。






けど本当は違う。






俺が邪魔してるだけ。






必ず間に俺が入ってたんだ。






高校に入ってもそうだった。






俺はそんな事しかできなくて。







「空っ!」






聞いたことあるような声が聞こえた。







今聞くことのありえない声が耳に届いた。






「…果歩…」






やっぱり。