この公園は、果歩と小さい頃よく行っていた公園。






緑ばっかりで風が気持ちいい。






そして、もう少し先には海がある。






俺はその海の前にある海岸に座っている。





花火が見える。






確か花火が上がる場所からここまでは歩いて30分かかるはず。






なのにこんなに近くに見える。






距離は遠いはずなのにな…。






果歩からはなんの連絡もない。






今頃佐々木と花火でも見てるんだろうな。






今更だけど後悔する。






なんで俺、あの時自分の気持ち伝えなかったんだろ。






果歩は伝えてくれたのに。






俺には、伝える資格もない。





いろんな人を巻き込んで、傷つかせて






それなのに俺は何も変わらない。






どこまでバカなんだよ。






そんな俺はやっぱり、果歩を幸せにする事はできない。






「原田君!」






は?






誰だよ。





こんな時に女なんかやめてくれよ…。






そう願いながらゆっくり後ろを振り返ると






「やっぱり、果歩の言う通りだった…」






そこには浴衣姿の相葉と青先輩がいた。






「なんで2人が」






「あのさ!原田君に今どうしても言いたいことがあって」






俺は立ち上がってふたりと向き合う。






「言いたいことって?」






果歩の事だろ。






今日来れないとか。






佐々木といるとか。






身を引いてくれとか、






そう思っていたけど






「果歩から事情は聞いてるの。待ってるんだよね」






「…」





見りゃ分かんだろ。






「気持ち、果歩は言ったんでしょ?なら次は原田君が気持ち伝える番なんじゃないの?」






「は?」






「いつまで果歩を待ってるの。今度は原田君が行かなきゃ。果歩は何も言わないけど返事待ってるんだよ?」







「…」






その為にわざわざ言いに来たのかよ。






「早く気持ち伝えないと、他の男に取られちゃうよ?果歩ああ見えてモテるんだから」







「…知っているよ」







果歩の事は何でも知ってるつもり。







本当は待たせてることくらい分かってる。





「私たちも協力する。先輩もおっけいだって」






「…」






なんだろう、こいつら…。







なんで俺たちのためにここまでしてくれるんだろう。







「果歩にはさ」







相葉がそうつぶやく。







「幸せになってほしいの。あんなカワイイ子、いないよ…」







「…あぁ…」






分かってる。






「ま、空ならきっといけるから。だって時期キャプテンだしな?」






と、青先輩はそう言って笑った。







「空の気持ち、俺は前から知っているよ。果歩ちゃんの事が好きって事。後は全部空次第だよ。あの子はちゃんと空に、気持ちを伝えたんだから」







だよな…。







俺、何に迷ってたんだろ…。






果歩が好きなのは俺だって言ってくれた。






なのに佐々木のところに行くんじゃないかとか、






果歩を信じてなかった。






「頑張れよ」






青先輩がそう言って、ふたりはどこかに行った。






俺は…






果歩が好き…