時間がない、どうしよう。





なかなか離してくれないな。






「あの、私急がなきゃ…」






「空先輩のところにですか?」






「え…?」






空…先輩って…?






ってことはこの子年下?






空と知り合い?






「私はあなたに言いたいことがあって来ました」






「…」






「単刀直入に言わせてもらいます。もうこれ以上、空先輩に関わらないでください」






その子はそう言った。






「え…どう言う意味?」






「あなたがいたら迷惑なんです。これ以上空先輩を困らせないで」






「何でそんなことあなたに言われなきゃいけないの?」






「すみません、申し遅れました。私の名前は佐倉梓紗です。サッカー部のマネージャーです」






「マネージャー?」






サッカー部にマネージャーなんかいったっけ?






屋上から見てた時もそれらしき人はいなか…






ううん、あの場所からは丁度見えないんだ。






きっとこの子はベンチにいたのか。






丁度屋上からはベンチが見えない。






だから空がベンチに行った時いつも見えないんだ。






「サッカー部のマネージャーとして言わせてもらいます。空先輩はあなたの存在のせいでいつも悩んで、サッカーだってとても影響しているんです。あんな、サッカーが上手い人、私は見たことがありません。だから…もう関わらないでください。これ以上空先輩を崩さないでください」






この子は真剣に言っているのか、私に頭まで下げてきた。






確かに空以上にサッカーが上手い人なんて近くにはいないよ。






だって、ずっと誰よりも努力してきたから。






それは私が良く知ってる。






だって隣でずっと見てきたんだもん。






私だって…。






「私だって…邪魔はしたくないよ…」






もっともっと、空にサッカーしてほしい。






もっと上手くなってほしい。






「雨宮さん!」






「…佐々木君…」






そこにいたのは佐々木君だった。