「…空っ!!」
空の背中が見えた。
私は思いっきり叫んだ。
全力疾走してたから、周りがよく見えなかったけど、
今見渡せば、ここが家の近くだと分かった。
空は私の声にびくっとして動きを止める。
玄関のドアに手が触れそうになったのを離して、私の方を向いた。
「はぁ、はぁ…そ、ら…」
そんな空は私を見て驚いた顔をしていた。
「…っ、あの、ね…」
やばい、息がきつくて喋れない。
空は私をじっと見るだけで何も言ってこなかったのに、
「本当に待ってたのかよ、マジでバカ」
空の言葉は、何が本気で何が嘘なのか検討がつかなかった。
だけど今は分かるんだ。
だってね、本気で言ってる時と
嘘で言ってる時の表情が、全く違うから。
「うんっ、待ってた。ずっと」
「…」
「空…ごめんね、私…」
なんで涙なんか出るんだろう。
こんなんじゃ、言いたいこと言えないよ。
「…たし、」
「…」
空は何も言わなかった。
ただ、優しそうなその顔で、最後まで聞いてくれた。
「私ね…空の事…聞いたよ」
私は話を続けた。
「空が、停学になったって…、聞いたよ?」
黙っていた空が口をあけた。
「…ごめん…」
そう言った。
「私、本当はこうなる前に空にちゃんと言って欲しかった。空の支えになりたかった」
「果歩…」
「だってね、」
「…」
「私、空の事が好きだからっ、」