「果歩、」
「はい?」
話しかけてきたのは空だった。
いきなりどうしたんだ。
「お前もバカにしてただろ」
「え?」
「数学」
「あ…。いや、私は」
「笑ったよな?」
ニヤっと口元をあげる空。
悪夢だ!!
「真面目に答えて合ってた空が面白かっただけ!」
「はぁ?なめんなよ?」
「指導お疲れ様でーす」
と、私はからかう。
「おかけで天才つくれました」
「あっそー」
「まぁいつもの俺ならきっと、知りませんで済ませてたな」
「ふっ、そう言えば一時期それで怒られたことあったよね?」
「あれは怒られたんじゃない。注意されただけ」
と、空は言う。
「怒鳴られてたのに?知りませんとは何ですか!!信じられない!!!って言われてたのに?」
「あれは注意だろ?別に俺悪いことしてねーし」
「無自覚男め」
「は?無自覚なのはそっちだろ」
「はいっ!?私はなんにでもちゃんと自覚していますが!!」
「嘘をつけ嘘を」
「空よりは絶対自覚してるし!責任感強いし!」
「何言ってんだよ、バカか」
「バカじゃないし!」
「お前と話してたらきりねーな」
「悪かったな!」
私はそっぽを向く。
すると
「あ、空」
私達の教室にやって来たのはサッカー部の先輩だった。
緑は先輩に反応する。
顔が真っ赤。
しかも固まってるし。
「はい」
「…どうも…」
先輩は私に気づいて頭を下げる。
なぜ?
私も軽く下げたけどさ。
すると空が
「なんすか青先輩」
と言った。
先輩は私から空に目をやる。
「うん。今日の部活室内になったから体育館ね」
「え、フットサルすか」
「もう直ぐ大会あるらしい」
「俺達も出るんですか」
「今年はうちの学校からも出るらしい」
「そうですか。分かりました」
空はそう言って先輩から目を逸らす。
先輩は緑の方に行き何かを話していた。
「てかアイツら付き合ってんだろ?」
「え?緑何も言わなかったよ?」
「お前には情報速度が遅いんだよ」
「どう言う意味よ」
緑は何も言ってないけどな。
付き合ったなんて、ひとことも。