そして緑のわくわくドキドキの日がやって来た。
3年生の教室に行く。
「あっ!!」
「え?」
緑はなにか思い出したように叫んだ。
「先輩って…何組だっけ?」
「ぶっ!!」
し、知らんのかい!
知らないでここまで来ていたとは。
このお方たまに天然なんだよね。
「と、とりあえず戻ろう!」
緑は私の手を取って走った。
階段を上がって私達の2年の廊下につく。
「別に戻ってくる必要無かったんじゃない?」
私は緑に言った。
「だって分かんないし」
「廊下にいれば来ると思ったんだけどな」
「あ!そうだ!」
「今度はなんですかあ」
「原田君に聞こうよ!先輩のクラス」
「えー、空に?」
「うん!同じサッカー部だし、それに果歩だって話すチャンスじゃん?」
「私は別にいつでも話せるんだけど…」
「すべこべ言わずさっさと行こっ!」
「はーい」
仕方ないな。
まあこれは、緑の為でもあるし。
緑ってきっと、これが初恋なんだと思う。
だから応援したいね。
私の初恋は…
ずっと続いているんですが。
延長線上や。
「おい」
でましたよ。
心の中で噂をすれば。
なぜか緑は空気を読んだのか私達に距離をおいた。
そんなことしなくていいのに。
堅苦しいのは嫌いでしてね。
「聞いてんのかバカ」
「なっ、聞いてますが!」
「声デカいんですが」
「あんたがデカくするようなこと言うからでしょ!?」
「人のせいかよ」
「空のせいよ」
「うざ」
…。
「悪かったな!」
ふんっ!
いきなりの会話がこれですか。
参ったな。
「で」
「は?」
なに、で、って。
「なんか用すか」
「空が先に話しかけてきたんでしょ?」
「あ?」
…バカめ。
まあいい。
私も話すことあったし。
「それより空」
「ん」
「サッカー部のキャプテンの先輩、何組か知ってる?」
「は?関わりあんのかよ」
「ないよ」
「じゃあなんで」
んー、緑の好きな人なんて言えないしな。
「いいのいいのー」
「あっそ。3組じゃね」
「本当?ありがとう!」
「嘘つくかハゲ」
「はっ!!ハゲてないし!」
「空の方がハゲるんじゃないの?ワックスとか塗っちゃってさ」
「別にワックスかけてるからってハゲるとかねーから」
「そんなの分からないじゃん!」
「分かる」
「分からない!」
とほほ、
キリがないよー
「じゃあ私これからヤボ用がありますので」
「ヤボ用?先輩のとこ行くのかよ」
ぎぐ…。
私って表情分かりやすいのかなー
「別に?」
「あっそ。じゃーな」
そう言って空は私の前から去った。
…なんなのよ。
疲れたぜ…。
よし、切り替えて緑を応援しなくちゃ!