「いや…なんだよ」







私は空の前に立ち上がる。






「…っ、」







涙が出て、言葉が出ない。







「果歩?」







「…うっ、」







「なんだよ。黙ってねーで言えよ」







少しキレ気味の空だった。







「そうだよね、」







「あ?」







「私…空が分かんないよ!」






「は…なんだよ、分かんないって」







「さっき春馬君に言ってた言葉も、私に言った大切って言葉も、全部意味が分からない」







「…」







「私はっ、」







「もういい」







「…」







「結局俺の事信じてなかったんだろ」







「…」







信じられないよ。







あんな場面見ちゃったら。







「分かったよ」







「…」







「俺帰るから。ひとりで帰れ」







「え、」






「そっちの方がお前としてもいいだろ…」







空はそう言って下駄箱を出て行った。