そしてあっという間に放課後となった。







「じゃあな」







「あ、空!」







「何?」







「終わったらLINEして?」







「おぅ」







空は私の頭にぽんっと手を置き教室を出て行った。







「もおー果歩ったら」







「へっ!」







「羨ましいよー」







「何言ってるの緑」







「いやぁ」







「ほら行こっ!」







「うんっ!」







私達はカフェを目指した。






その途中、靴箱で佐々木君と会った。







「…雨宮さん」






「…」







「あいつと付き合ったんだって?」







「あ、うん…」







「良かったよ、幸せそうで」







「…」







「こんなふうに俺があんたを笑わせたかった。けど、俺じゃダメみたいだったしさ。…って今更する話でもないけど」







「ううん、花火大会の日佐々木君が背中を押してくれたから私…自分の気持ち伝えることが出来た。佐々木君のおかげ。ありがとう」







ちゃんとこうして、お礼が言いたかった。






「ふっ。そんな事言われたら俺、諦められなくなるよ?」







「え」






じゃあなんと言えば…。







すると







「…ったく何やってんだお前は」






え?







「気をつけて帰れって言ったろ」






あ…。







「これだからこのバカは…」







「空!」






やっぱり!






「部活じゃないの?」







「まだ始まってない」







「そうなんだ。なんでここに?」







「道具出してたらたまたまお前達が見えた」






「そっか、」






「で」






ん?






空は佐々木君を睨む。







「コイツになんか用?」







「…」







「俺の許可無しに勝手に話しかけんな」






そう言って空は私の頭を自分の方に抱き寄せた。






えぇー!






ここ靴箱だよ!!??






全校生徒が通る靴箱だよ!!






緑はずーっと私を見てるし。







「許可って。空ってそう言う奴だった?」







「あ?」






「いつからそんなに強くなったの」






「なんの事だよ」







「いや。自分の気持ちを伝えられない弱虫だったのにな?」






なぬ!?






そこまで言いますか!!






空、怒ってるよ絶対。






「…その通りだよ」






え?






「認めたか」






「けど俺、コイツと付き合って変わった。もう裏でこそこそしない。今は正々堂々してられる」







「…」






空…






「コイツのおかげ。だからそんなコイツを取るのはもうやめろ」







「は?」






「って言っても果歩はお前を好きにはならないよ」






そう言って空は私を引っ張って下駄箱を出た。






「空、大丈夫?」






「大丈夫なわけねーだろ。何回言わせんだ」






「へ?」






「佐々木とは関わんな。いいな?」






「うん…」







「心配なんだよこっちは」






「…」






「だから俺が傍にいないとだめなんだよ…」






空、私のことそんなに思ってくれてるんだ。






「なんやかんや言って私のことめっちゃ好きなんだね!」







って、言ってあげたら






さっきまでのカリカリしていた表情はどっかに行き






「は、当たり前だろ」






って、笑顔になった。






空が好き。






大好き。







「ほら、相葉待ってんだから行ってきな」







「うん!空も部活頑張ってね!」






「あぁ」






走っていく空の背中はなんだか大きく見えた…。