「あ、ねえ」
「どうせただ呼んだだけーとか言うんだろ?」
俺は果歩に言う。
果歩はニコニコしながら、違うよーと言った。
「だったらなんだよ」
「あのね、来年の花火大会は一緒に行こ?幼なじみとして」
「また花火大会かよ」
好きだな。
「約束しといた方がいいじゃん?」
果歩はそういう。
「なんだよそれ。俺がどっか行くみたいな」
「ははっ、そんなこと無いよ」
「…まぁいいけど。お前が他の男ちゃんと断れるならの話だけどな」
「そんな余計なお世話だし」
「あっそ。…約束してやるよ」
「本当!?」
「あぁ。今度は初めから行こうな」
それに果歩の浴衣姿やばかったし。
もっかい見たいと思う俺。
なんかキモい。
ま、浴衣の事は来年褒めてやるか。
「なんかさー、」
「あ?」
「あんなに小さかった私達が今こんなにも成長したなーって」
「誰だよ」
「もー、いつもそんなことばっかり」
「…悪かったな」
「別に?それが空だからね」
「…あっそ」
上を見上げたら星を見つけた。
「でもいつかは、ばらばらになっちゃうんだよね」
果歩の顔は悲しそうだった。
らしくないこと言うよな、偶に。
「そんなこと無いだろ」
「だってさぁー、大学だって違うだろうし」
「果歩はどこ行くんだよ」
「AO大学かな」
「だったら俺もそこに行くよ」
「え?」
「だったら同じだろ?」
「でもそこ、バリバリ頭いいんだよ?」
「あぁ。知ってる」
「ここからは通えないんだよ?」
「寮だろ?」
「うん…」
「勉強する」
「空が?」
「するよ。だから俺に勉強教えて」
「ふっ…」
「なんだよ、笑うな」
そんなに俺が勉強するの笑えるかよ。
「笑ってないよ。分かった、教えてあげる」
「やった」
それなら果歩と離れずに済むな。
「言っとくけど私は厳しいよ?」
と、果歩は得意そうにそう言った。
「上等だよ」
確かに俺達は成長した。
時間は止まることなく進んでいく。
果歩も俺も変わった。
けど、変わらないものだってあるはずなんだ。