「にしてもこの部屋久々入ったわ」
「あ、そうだね」
「これ懐かしい」
「え?」
空の目線は私の机に飾られた写真だった。
あ、それは海の写真!
約束した日なんだ。
「空…覚えてるの?」
「…あぁ」
でもあの約束は、覚えてないんだよね。
「空君いる?」
部屋にやってきたのはお母さんだった。
「はい」
「あ、良かった。今日ご飯食べていきなよ」
と、お母さんは空に言う。
「あ、いや…」
「そうだよ!空、食べて帰ればいいじゃん!」
と、私ものる。
「うん、お母さんには連絡しとくけど」
「ねぇお母さん聞いて!空の体重何キロだと思う?」
「おいバカ!」
空は慌てて私を止める。
「そうねー、何キロかしら」
「40なの!軽すぎない!?」
そう私が言うと、お母さんは驚く。
「果歩の方があるじゃない」
「それはいいのー」
「40か。よっしゃ、今日は空君太らせよう大作戦料理でカロリー高い物ばっかり作っとく」
「うん!そうして!」
「それじゃあ空君、それまでゆっくりしてね」
と言ってお母さんは部屋を出た。
お母さんがいなくなってすぐに視線を感じた。
「言うなって言っただろうが」
「別にいいじゃん!良かったね!空を太らせよう大作戦料理で」
「はっ、よくねーよ!」
「これで太るんじゃない?」
「そう簡単に太るかよ」
「なにそれ。私は簡単に太るんですけど!」
「体質にもよるだろ」
「なにそれ。私が太りやすい体質みたいなさ!」
「別にそんなことは言ってない」
「ふーん?」
まだ今日を、終わらせたくないな。
今日だけ甘えてもいいですか?
空を借りてもいいですか?
明日からはちゃんと戻るから。
「空!」
「な、なんだよ…」
「なに動揺してるの?ほら、出かけるよ!」
「は?どこにだよ」
「いいからいいからー」
そう言って私は空の背中を押した。

