Magic of Chocolate

 幸い、駅には誰もいない。




 純にとびつこうと思えば、回りの目なんて気にできる。




 叫ぼうと思えば、思いっきり叫べる。




 電気もチカチカして、薄暗いのに。




 暖房も何もなくてすごく寒い場所なのに。



 
 純がここにいるってわかった途端に、あったかくなったよ。




 「で、もう1個あるんだけど」



 
 「え・・?」



 「ハイ」



 今度は紙袋には入ってないし、箱もすごく小さい。




 「開けてもいい?」



  
 「おぅ」



 
 ふたをとって中を見ると、入っていたのは銀色に光る小さな鍵。




 「高校卒業したら、俺と一緒に暮らさない?」



 
 ・・・2人で。



 純は、そっぽ向いてるけど、どんな顔してるかあたし分かるよ。