Magic of Chocolate

 あと10分。



 
 あたしがこの駅で、純の家の方向を見つめていられるのは、そんなにわずかな時間。





 辺りがどんどん暗くなって、それに連れてあたしの心も暗くなってく。




 薄紫色になった夜の空で、雲間が晴れたせいで、消え入りそうな三日月が丸見えだ。




 「まもなく、電車が到着します・・・・」



 こんな冷たい機械音、聞きたくない。