Magic of Chocolate

 自転車の後ろにちょん、と座って荷物を抱えた。




 「落ちるから掴まっとけ」




 「ん、」



 
 大輝の制服をちょっとだけ掴んで身を任せる。




 「事故ったりしないでね」



 
 「当たり前だ、バカ」



 
 照れ隠しにそんなこと言ってみる。




 嬉しい。



 でも、虚しい。




 「彼女ができたらさー、こういうことするんでしょー?」




 いつもより大きめの声で聞いてみるけど、




 「はぁ? 何だよ、きこえねぇよ!!」




 やっぱり虚しい。