夏が過ぎて少し寒くなったな、と明日香は思った。辺りはだいぶ秋めいている。

家にあったグレーのパーカーを着て、いつもの場所へ向かった。
−そう、いつもの場所…明日香の秘密基地だ。

 「…寒い。」

パーカーのポケットに入れてきたカイロで手を温める。そして、秘密基地にぽつん、とある水色のベンチに腰掛けた。

−静かだな、と明日香は思った。