登山ガール

迂回ルートを歩いていると、“迂回ルート”“注・難路”と書かれた表札をみつけた。

ここで合流なんだ。ここまで30分ぐらいだから、近い方なら10分ぐらいで着いたのかな?
でも私はきっと迷うよね。迷ったはずだよね。だから迂回して正解!私って偉い!

はぁ、何考えてるんだろ私。







あれ?ここで沢は終わりなのかな。もう沢の方に歩けないし。
って事は山頂が近いって事かな?

「わぁ~、広い。」

先ほどの場所から30分ぐらい歩いただろうか。
目の前に高原のような広い丘が広がっていた。

広い場所だなぁ。ここでピクニックとかしたら楽しいかもしれないけど、笹子駅から4時間以上歩いてるし、無理だよね。

どうしようかな、ここでお昼を食べてもいいけど、やっぱり山頂での方がいいかな?

やっぱり、山頂はここよりも言い景色で綺麗だよね。もう少し頑張ってみようかな。お昼も少し我慢我慢。

「はぁ、はぁ、はぁ」

あれ?山道じゃなくて普通の丘を登る方が疲れる。

な、なんで~。

前に出す一歩が重い。足がなかなか上がらない。体力を一気に失われていく、そんな感覚さえする。

立ち止まりながら無理をせずゆっくりと一歩ずつ着実に前へと進んでいく。

「やっと、丘を登り終わった~。」

丘を登ってる間に数人に抜かれたが知ったことではない。こちらは初心者なのだ。抜かれて当たり前だ。

抜かれる度に、「こんにちは~」と挨拶をしてくれる。

私はそれを返す。

私を抜いていった人、全員と挨拶を交わした。それがマナーだから。

よし。こっからはまた山道だ。頑張ろう。

数分後には足が悲鳴を上げていた。

どうしてだろう。丘を登る前はまだ余裕があったはずなのに。普通って山道の方が足に負担がかかるんじゃないの?

ふっと顔を上げると、少し上の方に小さな小屋の様な物がみえた。

なんだろう?

近づくと、“白縫神社”と書かれた小さな祠が建っていた。

せっかくだし、お詣りしてこうかな。

財布から15円を取り出し、(充分な御縁があるように)賽銭箱に放り投げる。

(登頂できますように。それと、イケメンじゃなくてもいいので、私に合った彼氏を)

手を叩き、頭を下げお祈りをする。

こんな所にまで来て、彼氏が出来ますようにとか、先輩の言ったように負け組みたいだなぁ。

今、祈ったことは黙っておこうっと。