くだらない言い争いをしながら美月と共にホームに滑り込んできた車両に乗り込む。


今日も元気に満員電車、もううんざりだ。


眉間にしわを寄せながらギュウギュウ人に押しつぶされていると不意に息苦しさが消えた。



「なに怖い顔してんの、美人が台無し」



そんな軽い言葉と共に眉間に置かれた人差し指。


とっさに払いのけ顔を上げると見上げる位置に将の顔。



「…どうも」


「いいえー」



調子良いことを言いながら何気なく人の壁から庇ってくれたことには気づいてる。


どうしてか、なぜか居心地悪く感じ身じろぎをする。


と、その瞬間にガタンと大きく揺れた車内。



「っわ!」


「…っぶな、大丈夫か?」



―――大丈夫、と言っても良いのかこの状況は。