「暑っつい」
優子は髪をかきあげながら言う。
「そうだねぇ。まだ6月なのにね」
しかもまだ中旬だ。
今年の梅雨は一瞬でおわってしまったらしい。
これでセミが鳴き始めたら、真夏日になってしまうんじゃないかな?
そんなくらいに暑かった。
「今29だって。しんじゃいそう」
「そりゃ暑いわけだね。というかぴよちゃん遅くない?」
ポケットから携帯を取り出して時間を確認する。
16時15分。
もう20分も待っている。
そろそろきてもいいんだけど……。
「言ってるそばから来たね」
優子がちらりと横に目をやる。
それを追うと遠くにパタパタと走ってくるぴよちゃんが見えた。
「ちかちゃん〜!」
なんて可愛らしい声をあげながらあたしたちの元へって何かあった?
ぴよちゃんがようやく目の前までに来ると、汗だくになった顔をタオルで拭きながら言った。
「なんかね、先生が提出ノート間違えてるからって言ってたよ?」
「ウソォ! そんなはずじゃ」
ごそごそとスクールバックをあさる。
けど中身は筆箱と昼食の用意とファイルだけだった。
置き勉をしてるから絶対と言っていいほど自分の机の中に入ってると思う。
うわぁ、やっちゃったなぁ。
「また待つの? 帰っていい? これはもう帰宅していいよね?」
優子のいらだちが肌でひしひしと感じた。
でも前にノートを出し忘れたから今度こそ出さなきゃ平常点がなくなってしまう。
あたしはまじで帰らないように保険としてバックをぴよちゃんに預けて校舎へもどった。



