後から聞いた話。 彼女は目を覚まし、ちゃんと生きていると聞いた。 けれど、京都に住んでいる僕は名も知らない彼女を探すことは不可能で、結局謝ることも、お礼を言うこともできなかった。 何もかも、無力な僕は、ただ、最後に彼女と交わした勝ってという約束だけを守るようにした。 それが、僕が強くてはならないワケだ。 「…あの時からお前は負けなしだからな…」 一夜の言葉にそうだねとだけ返した。 空気が重くなってしまった部室を僕は逃げるように後にし、家に帰った。