その瞬間。
優樹先輩が私を強く抱きしめた。
「遅くなってごめんね。怖い思いさせてごめんね。」
私は先輩の腕の中で泣いた。
先輩は何も言わず私を抱きしめ頭をなで続けてくれた。

やっと泣きやんだ私の顔を見て
「俺が絶対守るから。」
先輩が言った。
その言葉は今まで言われた言葉の中でもすごく思いが伝わってきた。
そして先輩はコクッとうなずく私のほっぺをグイッと上げて
「柚菜ちゃんは笑顔が1番!ね?」
と微笑んだ。
まだ付き合ってちょっとだけど、私は先輩のかっこいいとこでも優しいとこでもなく無邪気なこの笑顔が1番大好きです。


帰り道...
先輩がふと私の手を握った。
「え?」
驚く私に先輩は
「まだ手が震えてる。」
と言った。私は繋いだ手を離した、そして
「これ、震えてます?」
と笑いながらその手を先輩に見せた。
私の手は全く震えてない。
でも先輩は
「震えてるの!」
そう言って強く私の手を握った。
絶対離さないように、離れないように。