よかったんですか? 僕が聞くと 彼女は笑った。 彼女は笑って 左手の小指を見せた。 ここに付き合っているかぎりは 指輪をつけておこうって二人できめたの。 彼女はそう言ったが、 その小指には指輪なんてものはない。 今日ははじめからつけてないよ。 少し悲しそうな顔をして 彼女は自分の小指をなでた。 僕は 後ろで聞こえる彼らの声に耳を傾けた。 …良かったですね、姫。 ふいに、 涙がこぼれた。