「姫、
言ったんですか?」



二人は
小さなカフェに入っていた。


向かい合うように
座っている。







空くんは
イチゴミルクをゆっくり飲んでいる。



私はコーヒーを前に
首を振った。









「…そうですか」







私たちは
しばらく飲んでいた。


たまに
視線を窓の外に向けるくらい。



「私、
やっぱり話せなくて」



多分、
私の声が小さすぎたのだろう。


空くんは
じっと私の顔を見た。