「あ?なんだお前」
「手を離せっつってんだろ」
静かに顔を上げると
男の人が彼の肩を掴んで
彼を睨んでいた
『井上…君…?』
静かに呟くと、彼はわたしを見た
「なんだよ
知り合いかよ」
井上君はずっと彼を睨んでいる
井上君のこんな顔…
初めて見た
7組にいる友達に会いに行く時に、よく廊下側の机の井上君に友達を呼んでもらっていた
友達を呼んでくれるときの井上君は
いつも、温和でおっとりとした感じだったから
「へっ
まぁいいや」
彼はそう言うと、わたしの手を離した
手が話されると同時にわたしの体も自由になる
「じゃあな鈴華
あと…井上だっけ?」
彼は
最後に井上君の方を見て
「そいつ、やめといた方がいいぜ
つまんねえから」
と言った
なに言ってんの?
はぁ…
最後まで訳わかんないやつ
もう絶対に会いたくない
だんだん小さくなる彼の背中を見て
そう思った
「岡崎さん!大丈夫だった?」
井上君の顔が、怖い顔から穏やかな顔に変わる
