「も~桃ったら
あはっ…まだお腹痛い!
なんなの古代ローマの暗号って!」
授業が終わると、鈴華がわたしの席へ来るなりさっきのわたしの大失態を笑い始めた
『だ、だって~…』
数学って数字とかの計算をするから数学なんでしょ?
なのにアルファベットばっかりなんだもん
『わっ!なになに!?』
わたしがうじうじしていると、誰かから頭をくしゃくしゃっとなでられた
「ナイスギャグだったぜ、桃」
『駿君!
ちょっとー髪の毛がモサモサになっちゃったじゃないかー』
「ごめんごめん
いやー、桃はほんとにば…」
「ば」まで言いかけて、駿君ははっと口に手を当てた
おおおおい!
いくらわたしでもその後言おうとしてたことはわかるぞ!
わたしが駿君をじろっと睨むと、駿君はごまかすように目を泳がせた
「ば…バラエティ性があるなって言おうとしたよ」
『嘘だーーー!!
バカって言おうとしたー!!』
「…バレたか」
やっぱりーーー!!
違うもん
確かに頭悪いけど…
す、数学では実力を発揮できないだけだもん!!
『わ…
わたしの得意教科は国語だもん!』
「そうだっけ?
じゃあ、小説とかでありそうな綺麗な描写言ってみてよ」
『えっ?
び、描写?』
綺麗な描写かー
綺麗と言えば
やっぱり夕日とかだよね
よしっ!
『放課後の教室…
窓から夕日のオレンジの光が差し込み…』
駿君と鈴華が少し感心したような表情をしてる
よしよし
いい感じだね
えーと…
光が差し込み…
えー…
『きょ、教室が全てオレンジ色になっている?』
「おいおいおい!
途中までいい感じだったのに!」
「センスが…」
駿君と鈴華が呆れたように笑う
くやしいー!!
『ちょ、調子が悪いだけだもん…』
「そうなの?
じゃあ調子がいいときにまた聞かせてね?」
鈴華がにやりといたずらっぽく笑う
ううー…
いつかびっくりして腰抜かすくらい綺麗な描写考えてみせる!
『あっ!!』
「わっなに?
びっくりした」
忘れてた!!
鈴華の彼氏の件!!
