あなたとのキョリ

『っ!』

「当たり?」

美乃里は緩く巻いた長い髪を風になびかせながらクスクス笑う

…なんで気づいてるんだ?


「涼太くんのことだから、
好きな子がいるけど、わたしに気を遣っていつまでも別れを切り出せずにいる
…みたいな感じかな?」

『…ごめん美乃里……
当たってる…なんでわかったんだ?』

「ふふっ
テレパシー」

美乃里はそう言うと、いたずらっぽく笑った


美乃里から言わせるなんて…

俺はなんて情けないんだ…


『ごめん…美乃里……』

「どうして駿君が謝るの?
好きになっちゃったんでしょ?
それは自然な気持ちだから仕方ないの」

美乃里の目から一筋の雫がこぼれる


こんな中途半端な気持ちで美乃里と付き合ったからだ

全部…俺が悪い…


『美乃里
こんな情けない俺を

好きになって、告白してくれてありがとう』

そう言うと、美乃里は涙で濡れた頬を手で拭って

目を細めて微笑んだ


その姿は、痛々しいくらい綺麗だった


「桃ちゃん…だっけ?
かわいくていい子だよね」

『えっ?』

俺が驚いた顔をすると、美乃里は人差し指を立てて自分の口元に当てると

「ナイショにしとくよ」
と小さな声で囁いた


そこまで知ってたのか…


俺がポカーンとしていると
美乃里は
俺にキスをした

そして
「ばいばい!」

と、今まで見た中で一番綺麗な笑顔で笑った


だんだん小さくなる美乃里の背中を見送りながら、
俺はしばらくその場に立ち尽くした


『ごめんな…美乃里…
今までありがとう…』


もう見えなくなった美乃里の後ろ姿に何度も謝りながら

俺も家路を急いだ


✻涼太side end✻