「桃、帰ろう」
『駿君…』
放課後になると、駿君はいつものようにわたしを誘ってくれた
「駿ちゃーん!
一緒に帰ろー!」
成海さんの声だ…
「はぁ?
お前家真逆だろ?」
「いいじゃん別にー!
校門までだよ!ね?いいでしょ?」
「…しょうがないなー……」
「やったー!!」
成海さんは
わたしの目の前で駿君の腕に自分の腕をからめた
やだ…
成海さんは嬉しそうな笑顔を駿君に向ける
駿君は成海さんの腕を振り払おうとはせず、そのままとなりで歩いている
教室から校門までなんて、すぐなのに、道のりがいつまでも続く迷宮のように感じて、二人がわたしの手が届かないところまで行ってしまうのではないかという錯覚に陥った
「駿ちゃんばいばーい!」
校門まで行くと、成海さんは手を降って歩いていった
「桃、なんかごめんな
成海がずっと話してて
暇だったよな」
駿君…
駿君はどうしてそんなに優しいの?
成海さんと話しながらも、わたしのこともちゃんと気遣っててくれたんだ
「桃?どうした?」
『うっ…』
「桃!?大丈夫か!?
どうしたんだ!?」
涙が次から次へとこぼれる
成海さんに言われた言葉の針が、駿君の優しさでじんわりと溶けて、それが涙になって出てきたみたいに、とめどなく溢れてくる
駿君が優しく背中をさすってくれる
涙は、
家に着くまでずっと流れていた
