それからどうやって教室に帰ったか覚えてない
でも、成海さんに言われた言葉は今でもチクチクと胸に刺さっている
「駿ちゃーん!聞いて聞いてー!」
その声に、体が反射的にピクっと反応する
「成海、
ちゃんと桜田さんに謝ったよー
褒めて褒めてー」
やめて…
いやだよ…
「成海、昨日でちゃんと謝れよ」
「昨日はー
ちょっとイライラしてて…
でも今日ちゃんと謝ったからいいでしょ?」
「…まったく」
駿君は呆れたように呟いたけど、昨日みたいにイラつきは見えない
だんだん優しい声に変わっていく
「あ、ねぇ駿ちゃん
ちっちゃい頃行った公園、
今もあるの?」
「ああ、あるよ」
「そうなんだ!
じゃあ今度一緒に行こー!」
ちっちゃい頃行った公園?
「桜田さんの知らない駿ちゃん」
さっき言われた成海さんの言葉がよみがえる
胸が苦しい…
わたしは耐えられなくなって耳を塞いだ
耳を塞いでも、成海さんの楽しそうな声と、駿君の優しい声が聞こえてくる
声が聞こえる度に、胸の傷が増えていく
苦しい…
助けて…
「桃、大丈夫?」
『鈴華…』
「まったく…
桃が彼女だって知ってるくせに…
駿も駿よ
なんで桃がいるのに…」
鈴華は二人の方を見て呟いた
『いとこだから仕方ないよ…』
本当は
成海さんが駿君を好きだからだけど…
それに、成海さんはわたしにひどいことを言って以来
クラスで浮いてしまい、駿君しか話す人がいないみたいだし…
今はそう言って自分を慰めるしかない
「…桃」
鈴華が心配そうにわたしを見る
『大丈夫…』
わたしは鈴華を少しでも安心させるために、無理やり笑顔をつくった
わたしの作り笑いはバレバレだろうけど
鈴華はそれ以上何も言わずにわたしの頭を撫でて悲しそうに笑みを浮かべると、自分の席に戻っていった
相変わらず聞こえてくる成海さんの声から逃げるように、わたしはまた耳を塞いで目を閉じた
