駿君に連れて来られたのは、空き教室
今ではほとんど使われていない教材がそこらへんに無造作に置いてあったり、教科書が山のように積み上げられていて、物置みたいになっている
こんなところに、何しに来たんだろう
『しゅ、駿君?』
呼びかけると、駿君が急に振り向いた
『えっ?』
そしてそのままわたしを壁際に引き寄せわたしの顔の横に両手をついた
な、な、な!?
なんなの!?この状況は!
背中には冷たくて硬い壁の感触
顔の両脇には駿君の手
目の前には、真剣な駿君の顔
『あ、えと、う…』
初めてこんな状況になったから、口をパクパクさせることしかできない
心臓がすごい早さで脈打っている
はわわわわわ
ど、ど、どうすれば…
もう一度駿君の顔を見ると、真剣な顔から、色っぽい顔に変わっていた
少し目を細めて、まっすぐにわたしの目を見る
この顔…するときって…
その表情の意味を悟って、顔が真っ赤に火照るわたしにはお構いなしに、駿君の顔が少しずつ近づいてくる
そして、駿君の長い前髪がわたしの鼻にふわりとかかるのを合図に、
わたしは目を閉じた
