あなたとのキョリ

ドアが壊れるんじゃないかというくらい勢いよくドアを開けたため、そのまま前に転んでしまった。
そろそろ一時限目が始まる時間だから、屋上には人が全然いなくてよかった。

『はぁっ、はぁっ、
はぁぁ…
わたし、女優になれるかも…』
よく泣かずにいれたな…
人がいないから
思いっきり泣いても大丈夫だよね

『ううっ
あああっ
あああああっ…』
胸が苦しい
誰か助けて
息がうまくできない

「桃っ!!」
またドアが勢いよく開いた
そこには息を切らした鈴華が立っていた。
鈴華…
走ってきてくれたんだね
ありがとう
ありがとう鈴華…

『り、鈴華…』

「桃…」
鈴華はわたしのところへ走って来てくれて、体が痛くなるくらい強く抱きしめたくれた。

結局鈴華はわたしが泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。