あなたとのキョリ

「とにかく!」

『ぐえっ』

「あっ
ごめん…」
鈴華はわたしを抱きしめたまま急に立ち上がったから、わたしの首が締まってしまった。
く、くるしかった…

「ごめん…
桃、大丈夫?」
鈴華の綺麗な顔が、心配そうにわたしを見ている。

『うん!
全然大丈夫だよ!』

「そっか、よかったぁ」
鈴華は、ほっとため息をついた後
また凛々しい顔に戻り、

「とにかく!
その彼女とやらを突き止めよう!」

『お、おー!』
鈴華と話してたら、元気が出てきた。
鈴華は気合いたっぷりだけど、わたしは少し複雑な気持ち。
彼女がどんな人かは気になるけど…
大好きな人の彼女を見るのはなぁ…
でも、でも…

『…よしっ!』
うじうじしてても仕方ないよね。
気になってモヤモヤするくらいなら、見に行ったほうがいい。

わたしは鈴華と一緒に、屋上の階段を勢いよくかけ降りた。