あなたとのキョリ

「薬局とかに湿布売ってないかな
探してくるか」

『待って、わたしも行く』
1人になるのはいや
一緒に行きたい

「もちろん
桃も行こう
もう絶対1人にしないから」
わたしはほっとして、駿君の後をついて行った

駿君はときどき後ろを見て、わたしがちゃんとついて来てるか確認してくれる

優しいなぁ…
「桃着いたぞ
湿布探すか」

『うん』

「えーと…
あった」
駿君は湿布を買うと、わたしの腕に貼ってくれた

『ありがとう』

「いや…」
駿君は、また心配そうな顔をしている

『駿君、わたしは本当に大丈夫だから、
そんな顔しないで
駿君らしくないよ
ほらっ!いつもの駿君に戻ってよ』

「…そうだな
よし!映画観に行くか!」

『うん!』
よかった
いつもの駿君だ

『駿君、わたしが信号って言った罰として映画観に行くって言ったよね?
でも、映画観に行くなら、全然罰にならないんじゃない?』
むしろ、映画を観るのは好きだけど…

「映画館に着いてからのお楽しみだ」
駿君はまた不敵な笑みを浮かべた
うーん…
全然わからない…

しばらく歩くと、映画館が見えてきた
前の掲示板に、たくさんポスターが貼ってある
駿君はその中の1枚を指さした

「ほらっ、桃
あれ観るぞ!」

『え…』
駿君が指さしたのは、わたしが苦手なお化けの映画だった

『やっ、やだやだ!!
絶対やだよー!!』

「だから言ったろ?
罰だって」
そう言うと駿君はニヤリと笑った

『無理無理!!
駿君のいじわるー!!』

「さぁ行くぞー」

『やだー!!』
わたしはそのままずるずると映画館に引きずり込まれた

これが駿君が考えていた、わたしにとってお菓子よりもジュースよりも重い罰だった